時間逆行通信の原理/3.確率則

H偏光板を透過中の1個の光子の偏光状態はH偏光状態です。では、H偏光板を透過した直後の1個の光子の偏光状態はH偏光状態だと断言できるでしょうか。従来の物理学の答えはYesです。しかし、その答えは間違いです。なぜなら、図5のように1個の光子がH偏光板に入射する前にそのH偏光板によるHV測定に続いてD偏光板によるDX偏光測定が行われることが確定していたとすれば、1個の光子はH偏光板を透過した直後にDX混合状態へと様相遷移するからです。このDX混合状態は、D偏光状態,X偏光状態それぞれの確率が50%の様相的混合状態です。つまり、ボルンの規則は測定値に関する確率則から測定前の測定対象の様相的混合状態に関する確率則へと一般化されます。

次に、量子コイントスにより半々の確率で(V偏光板によるHV測定),(D偏光板によるDX測定)どちらかの履行を定める設定において、図6のように1個の光子がH偏光板を透過した後に(V偏光板によるHV測定)の履行を定める量子コイントスを頂点とする未来光円錐へ入る場合について考えてみます。

この場合、H偏光板を透過した直後における1個の光子の偏光状態は、つぎのような様相的混合状態になります。
H偏光状態である確率 ‥‥ 50%
V偏光状態である確率 ‥‥ 0%
D偏光状態である確率 ‥‥ 25%
X偏光状態である確率 ‥‥ 25%
H偏光状態の確率が100%にならないわけは、H偏光板透過直後の段階ではまだDX測定が行われる可能性が50%あるからです。そして、その光子が(V偏光板によるHV測定)の履行を定める量子コイントスを頂点とする未来光円錐へ入った直後の偏光状態は、つぎのような様相的混合状態になります。
H偏光状態である確率 ‥‥ 75% (= 50% + 12.5%+ 12.5%)
V偏光状態である確率 ‥‥ 25% (= 12.5% + 12.5%)
したがって、H偏光板を透過した1個の光子は25%の確率でV偏光板を透過して検出されます。この推論は、クロスニコルに配置(偏光軸を互いに直交するように配置)した1対の偏光板は光を遮断するという光学の常識に反しています。しかし、従来の光学実験におけるクロスニコル配置では、1個の光子が第1の偏光板を透過するときにはすでに第2の偏光板をクロスニコルに配置することが確定しているといえるので、上記の推論が経験的事実に反しているわけではありません。
- 2017.04.06 Thursday
- TimeCommunication
- 08:09
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- by TimeComm