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時間逆行通信の原理/1.力学的状態と様相的状態

Chanel Guillotine (Breakfast Nook), 1998. Tom Sachs
Chanel Guillotine (Breakfast Nook), 1998. Tom Sachs
 

殺人罪に問われて独房に収監されている被告ムルソーの運命について考察してみましょう。ここでは簡単のために有罪(死刑)か無罪かの陪審評決が量子コイントスによって下されるものとします。また、ムルソーの処刑あるいは釈放という事象は、全体状況を観察する観察者(いまここの私、実存)を頂点とする過去光円錐の中に含まれるものとします。


ムルソー処刑

図1のように、ムルソーの処刑を確認した観測者からみれば、死刑評決の量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側のムルソーは処刑されることが確実だったといえます。一方、図2のようにムルソーの釈放を確認した観測者からみれば、無罪評決の量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側のムルソーは釈放されることが確実だったといえます。


ムルソー釈放

ただし、図1と図2のどちらの状況であっても、評決の量子コイントスを頂点とする未来光円錐の外側のムルソーは処刑されるか釈放されるか不確定だったといえます。ですから、量子コイントスを頂点とする未来光円錐面を境界として処刑か釈放かに関する可能性が収縮したといえます。このように、評決を頂点とする未来光円錐面を境界としてムルソーの運命は劇的に変化しますが、だからといって、その未来光円錐面において評決に起因する何等かの力学的作用が独房内のムルソーに加わったわけではありません。つまり、ムルソーの力学的状態の変化はその未来光円錐面と無関係だが、ムルソーの様相的状態(ムルソーの運命)はその未来光円錐面で大きく変化するといえます。なお、図1のように観測者(いまここの私、実存)を一々描き込むと図が煩雑になるので、今後は図2に示したNow*Here 記号(筆者提案)を使ってそれを表すことにします。


ムルソーの様相的状態は図1や図2のように時空図中(物理世界の中)の状態として示せますから、ムルソーの物理的状態を完全に記述ためには、力学的状態だけでは不十分で可能性や必然性に関する様相的状態も同時に記述する必要がありそうです。ところが、従来の物理学は、ムルソーの様相的状態には一切言及しません。その理由は、評決(量子コイントス)を原因としてムルソーが処刑か釈放かのいずれかの結果に至るという因果的変化を力学的状態の変化として問題なく記述できるからです。また、物理世界が主観と独立した客観的世界だと考えている唯物論者や物心二元論者は、観測者(いまここの私、実存)を物理世界の主要な要素に組み入れることに激しく反発するでしょう。だがしかし、ミクロ系に目を転じれば、彼らの頑な態度も揺らぎ始めます。量子現象が本源的に確率的であるという事実は、量子状態が力学的に記述されるだけでなく様相的にも記述されべき状態であることを意味しています。また、量子力学の観測問題を解決するためには、測定対象の状態の因果的変化を様相的状態の変化として記述する必要があると考えられます。



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