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ダブルHOM干渉(3)

EPR相関について、もう少し説明しておきます。下の図のように、EPRソース(パラメトリック下方変換器PDC)からアイドラー光子iとシグナル光子sとが互いに反対方向に放出され、アイドラー光子iのエネルギーをアリスが測定し、シグナル光子sのエネルギーをボブが測定するものとします。


eprc_1

我々の遷移法則によれば、EPRペアが放出される時点において、すでに測定の原因事象Cが起こっていれば、EPRペアはその放出時点から古典的混合状態であるといえます。この状況は、下図のようなミンコフスキー時空図によって表すことができます。


eprc_2

測定の原因事象Cを頂点とする測定の未来光円錐の中では、アリスとボブは、自分の側だけでなく、相手の側でも光子のエネルギーが測定されることを原理的に知りえる立場にいます。ですから、そこでは「EPRペアは古典的混合状態である。」と断言しても何の矛盾も生じません。では、次の図のようにEPRペアが放出された時点において、アリスもボブも光子を測定する確率がほぼゼロとみなせるような場合はどうでしょうか。このような場合は、アリスもボブも放出時点のEPRペアを量子的純粋状態と記述する以外にありません。


eprc_3

それならば、EPRペア放出時点では測定が行われる確率がほぼゼロであることには変わりは無いが、その後、各光子がアリスとボブのところに到達する直前に、アリスの測定とボブの測定が独立に決定された場合はどうでしょうか。その場合は、次の図のように、測定の原因事象Ca, Cbはアリスの側とボブの側のそれぞれにありますから、測定の未来光円錐は2つ設定されます。


eprc_4

これは、非常に興味深い状況です。この場合、アリスが光子のエネルギーを測定したとしても、そのとき彼女は「ボブの光子のエネルギーは、私の測定値と相関している。」と断言できません。なぜなら、この状況設定では、アリスが光子のエネルギーを測定しても、ボブは光子の放出時刻を測定する場合があるからです。つまり、その場合、それぞれの測定値が相手側の未測定の物理量と相関しているとすると、結果的にEPRペアのエネルギーと放出時刻との両方が確定し、不確定性原理に反してしまうからです。したがって、光子のエネルギーを測定した時点のアリスがいえることは、「ボブが光子のエネルギーを測定して量子相関が達成される極めて低い可能性がある。しかし、ボブの側に到達する光子のエネルギーは不確定である可能性が極めて高い。」ということだけなのです。このような結論は一見エネルギー保存側を破っているようにも見えます。しかし、エネルギー保存側は測定しえる範囲で正しければ法則として事足りることに注意してください。つまり、アリスとボブの両者が共に光子のエネルギーを測定する場合に、エネルギー保存側が問題になります。その場合、2つの測定の未来光円錐が重なり合った時空領域に位置するアリスは「ボブの位置へ到達する(到達した)光子のエネルギーは、私が測定する(測定した)光子のエネルギーと相関している。」と断言できます。


しばしば安易に、「アリスが光子のエネルギーを測定すれば瞬時にボブの光子のエネルギーも決まる。」と言われます。しかし、上記の考察からそのような言い方は明らかな間違いだとわかります。我々が観測対象の状態を正確に記述するためには、測定の未来光円錐の位置と、いつどこ(どの時空点)の記述者の立場で記述しているのかとを明確に示さなければなりません。

(つづく)



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