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「私」と「他者」と「物理世界」 (19)

kenji

物理世界の中心は、私のいまここにある


λ/4板トルクセンサーを利用したEPR通信   2/4


3. 超光速EPR通信

上述の"no-communication theorem"とは別に、測定方法に依存しない超光速通信に関するno-go定理がEberhardとRossによって提出されている。しかし、彼らのno-go定理はコペンハーゲン解釈を前提にしているので、現段階で許容されるすべての解釈のもとで成立する定理とはいいがたい。実際、実存主義的様相解釈(下記囲み記事参照)の立場に立つと、超光速通信は実現可能なことがわかる。


***************************************************

(1)実存主義的様相解釈とは、物理世界を、「架空の絶対者の視点から見た世界」から「現実の人間(実存)の視点から見た世界」へと引き下ろすことにより、観測問題を解決する解釈である。


実存の視点を要請する根拠は、つぎの確固とした物理的事実に求められる。


(2)現実世界とは、歴史世界である。そして、その歴史世界を内包する過去光円錐の頂点に私のいまここという物理世界を見渡す視座が存在する。


また、


(3)物理世界は、現実世界と可能世界とからなる。
(4)可能世界とは、物理法則と現実世界(歴史世界)の記録とによって確率的に存在が推測される世界である。


ただし、ここで記録とは、人為的な記録のことではなく、本源的な確率事象の全てを指す。
ある記録対象に関して、Aが記録される可能性もBが記録される可能性もある記録系において、現実にAが記録されたとすれば、その記録事象を頂点とする記録光円錐面を時空的境界として、世界の様相が「AとBとを記録可能性として合わせ持つ様相」から「Aという記録(歴史的事実)が確定した様相」へと遷移したことになる。そこで、このような遷移を様相遷移と呼ぶことにする。
A,Bそれぞれについて記録される可能性がある記録系において、記録をAへと収縮させる記録事象(究極的な原因事象)を頂点とする記録光円錐面での遷移を様相遷移と呼ぶのだとすれば、A,B,C,Dそれぞれについて記録される可能性がある記録系において、記録可能性をA,Bへと収縮させる記録事象(究極的な原因事象)を頂点とする記録光円錐面での遷移もまた様相遷移と呼ぶべきであろう。


(5)様相遷移は、記録対象系に関する記録可能性が収縮していくに従って、その収縮に関する記録事象(究極的な原因事象)を頂点とする各記録光円錐面において段階的に起こる。


図5は、記録光円錐面における様相遷移を模式的に示したミンコフスキー時空図である。

QWTS5

記録対象がA,B,C,Dという記録可能性を合わせ持つ場合、その状態はA,B,C,Dに関する混合状態だと考えることができる。なぜなら、記録対象がA,B,C,Dという記録可能性を合わせ持つ状態とは、A,B,C,Dのいずれかの値が確率的に記録される状態に他ならないからである。そこで、このような記録可能性に関する混合状態を、記録基底混合状態と呼ぶことにする。この記録基底混合状態は、本源的な意味の確率的混合としての混合状態であり、かつ、純粋状態への分解の仕方が一意に決まる混合状態なので、統計的近似としての古典的混合状態でも、密度行列によって表される量子的混合状態でもない。
記録可能性A,B,C,Dからなる記録基底混合状態から、記録可能性A,Bからなる記録基底混合状態へと記録可能性が収縮し、さらに、記録可能性A,Bからなる記録基底混合状態から、記録Aに対応する純粋状態へと記録可能性が収縮するのだとすれば、量子系の一般的な状態は純粋状態ではなく記録基底混合状態だということになる。なぜなら、記録対象の状態は記録の瞬間に純粋状態に確定するとしても、その記録の直後には、その対象は次の記録可能性に関する記録基底混合状態へ様相遷移するからである。
したがって、


(6)射影仮説は一般に成立しない。


ただし、対象系を干渉計や安定な準位といった特殊な時空領域に閉じ込めて、記録可能性を排除した状況では純粋状態が保持される。
記録可能性の収縮が様相遷移という形をとって段階的に起こるのだとすれば、ボルンの規則は、測定時に限定して適用される確率規則から、記録可能性が収縮する各記録光円錐面において適用される様相遷移の確率規則へと一般化される。
つまり、


(7)様相遷移は、一般化されたボルンの規則に従う。

*****************************************************


実存主義的様相解釈が正しければ、QWTSを利用した超光速EPR通信は因果律に反しない範囲で成立する。たとえば、下記の図6のように、偏光量子もつれ光子ペアの生成が、Alice側の偏光板角度(45°あるいは0°)の設定に関する究極的な原因事象C_set(記録事象)を頂点とする記録光円錐に入っていれば、超光速EPR通信が成立する。

QWTS6

図6の状況では、光子がQWTSに到達する前に、「原理的に」ではあるが、Bobは光速以下の古典通信チャンネルを使ってAlice側の偏光板の設定角度(45°あるいは0°)を「知ることができる」。「原理的に知ることができる」という断り書きの意味は、Bobが古典通信チャンネルを通じてAlice側の偏光板角度(45°あるいは0°)の設定に関する原因系の完全なデータを取得し、さらにBobが正しい物理法則の知識と十分な計算能力を持っていれば、Alice側の偏光板角度(45°あるいは0°)の設定を確実に予測できるという意味である。したがって、EPR光子ペアの状態はその生成直後から、原理的な意味で確実に予測されるAlice側の偏光板の設定角度に対応して、{|+45>a|+45>bと |-45>a|-45> bとの記録基底混合状態}か{|H>a|H>bと |V>a|V> bとの記録基底混合状態}かのどちらかに確定している。そこで、わざわざ古典通信チャンネルなど使わなくても、BobはQWTSの点灯・非点灯によってAliceの偏光板の角度が45°であるか0°であるかを知ることができる。つまり、Aliceによる偏光板の角度(45°または0°)の切り替えを送信事象とし、Bob側におけるQWTSの点灯・非点灯を受信事象とする超光速EPR通信が成立する。


しかし一方、下記の図7のように、QWTSへの光子入力事象が、Alice側の偏光板角度の設定に関する究極的な原因事象C_setを頂点とする記録光円錐の外側にあれば、EPR通信は不可能である。

QWTS7

なぜなら、図7の場合、究極的な原因事象C_setを頂点とする記録光円錐の外側におけるEPR光子ペアの状態は、{|+45>a|+45>bと |-45>a|-45> bと|H>a|H>bと |V>a|V> bの各確率が25%の記録基底混合状態}になっているからである。つまり、その場合、QWTSの点灯・非点灯が到達光子ごとにまったくランダムになってしまいEPR通信は成立しない。


通常、究極的な原因事象は人間によって確認されることのない隠れた記録事象である。そのことは、超光速EPR通信装置が千里眼のような役割を果たすことを意味している。たとえば、受信者Bobが超光速EPR通信によって「巨大地震の発生を知る」ということは、「EPR光子ペアの生成前に巨大地震の原因事象群が地中において出揃っていたという隠れた事実を遠隔的に透視する」ということに等しい。

(つづく)


お願い

以上の記事は、哲学系掲示板「論客コミュニティー」に投稿したものです。投稿先への礼儀と応答の重複を避ける観点から、この記事へのコメントは、「論客コミュニティー/哲学/「私」と「他者」と「物理世界」」の方にお寄せ願います。


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