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「私」と「他者」と「物理世界」 (11)

nuclear_bomb

歴史は力のみにて変遷するにあらず


1993年、エリツールとベイドマンは、以下のような反事実条件文を満たす爆弾検査装置(無相互作用測定装置)を提案した。


「もし、検査対象の爆弾が不発弾ではない正常な爆弾だったなら(爆発する可能性があったなら)、全く相互作用を介することなくそれが正常であることを判定できたであろう。」


図16に示したように、MZ干渉計の左光路には検査対象の爆弾(不発弾Dudもしくは正常爆弾Good)がセットされている。爆弾の外側に突き出た起爆プランジャーの先端にはミラーが取り付けられている。正常爆弾の起爆装置は大変鋭敏にできているので、ミラーに光子が1個当たっただけでも激しく爆発する。一方、不発弾は、プランジャーがさび付いてしまっていて動かない。そのため、不発弾は光学デバイス(ミラー)としての役目しか果たさない。

fig16

図16(a)に示したように、予めセットされた検査対象が不発弾である場合、ビームスプリッタBS1, BS2間の光子の状態は、左光路状態と右光路状態とが重ね合わされた純粋状態なので、検出器D1で光子が検出される可能性は破壊的な干渉によってゼロである。一方、予めセットされた検査対象が正常な爆弾である場合は、図16(b)に示したように光子が右光路を通って検出器D1で検出される可能性は25%であり、図16(c)に示したように爆弾が爆発する可能性は50%である。しがって、爆弾が正常な場合、25%の確率でそれを爆発させることなく判定することが可能である。ここで注目すべきことは、光子と正常爆弾とが全く相互作用していないにもかかわらず、検出器D1での光子の検出(正常爆弾の判定)という現実の効果が生じるということである。


爆弾検査問題の時空的様相をミンコフスキー時空図上で考察する。
なお、考察対象のMZ干渉計は、図16を縦方向に収縮させた1次元のMZ干渉計とし、また、その光路の屈折率を√3に設定する。こうすれば、光子の世界線を光路に見立てることによって2次元時空上にMZ干渉計を表現でき、なおかつ、光子の世界線が時間軸に対して30°になり、光円錐面(時間軸に対して45°)と区別できて大変都合が良い。


爆弾検査装置に不発弾をセットするか正常爆弾をセットするかを決める究極的な原因事象が必ず存在する。その究極的な原因事象の時空座標を明確にするために、1個の電子のスピンを記録するシュテルンゲルラッハ装置を想定し、スピンダウンが記録されたら不発弾がセットされ、スピンアップが記録されたら正常爆弾がセットされるものとする。ただし、スピンダウンとスピンアップの確率は半々になるように予め設定してあるものとする。

fig17

図17では、光子がビームスプリッタBS1を透過する時空点は、スピンダウンの記録事象R_downを頂点とする記録光円錐内に入っている。したがって、光路には予め不発弾がセットされているので、光子が左右どちらの光路にあるかについて記録される可能性は全くない。
そこで、ビームスプリッタBS1からビームスプリッタBS2までの光子の光路状態は、


《BS1〜BS2》
(1/√2)|左光路> + (1/√2)|右光路>


一方、図18,図19では、光子がビームスプリッタBS1を透過する時空点は、スピンアップの記録事象R_upを頂点とする記録光円錐内に入っている。したがって、光路には予め正常爆弾がセットされている。

fig18

fig19

光子が検査対象に到達する予定時刻において、図18に示した非爆発事象R_non(光子非到達の記録)あるいは図19に示した爆発事象R_bang(光子到達の記録)によって波束の収縮が起こる。
従来解釈の支持者は、非爆発事象R_nonあるいは爆発事象R_bangが起こるのと同時に右光路の光子の存在あるいは非存在が確定するとしばしば主張する。しかし、これは全く不可解な主張である。なぜなら、そうすると右側光路において波束の収縮が起こる時空点が座標系のとりかたに依存してしまうので、ローレンツ不変が成立しないからである。
実際、
「ある事象を中心として対称に広がるローレンツ不変な超曲面は、その事象を頂点とする光円錐面に限られる。」
そこで、実存主義的様相解釈では、
「波束は、量子記録事象を頂点とする記録光円錐面において収縮する。」
と解釈する。
したがって、 BS1から記録光円錐面R_non_s, R_bang_sまでの光子の状態は、以下の記録基底混合状態である。


《BS1〜R_non_s, R_bang_s》
|左光路>の確率 = 50%
|右光路>の確率 = 50%

(つづく)


お願い

以上の記事は、哲学系掲示板「論客コミュニティー」に投稿したものです。投稿先への礼儀と応答の重複を避ける観点から、この記事へのコメントは、「論客コミュニティー/哲学/「私」と「他者」と「物理世界」」の方にお寄せ願います。


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