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「私」と「他者」と「物理世界」 (10)

dragon

M.C. Escher, Dragon


次に、光子がビームスプリッタBS1を通過する時空点を「電子のスピンの記録事象Rを頂点とする記録光円錐」の外側に設定した場合について考察する。
その場合、ビームスプリッタBS1から「電子のスピンの記録事象Rを頂点とする記録光円錐面RLC surface」までの光子の光路状態は、「左光路状態と右光路状態が重ね合わされた純粋状態」と「左光路状態と右光路状態の確率的混合としての混合状態」とからなる複合的な記録基底混合状態になる。


《BS1〜RLC surface》
|左光路>+|右光路>の確率 = 50%
|左光路>の確率 = 25%
|右光路>の確率 = 25%

fig14

図14では、光子はスピンダウンの記録事象R_downを頂点とする記録光円錐に進入する。この場合、ビームスプリッタBS2が光路に挿入されるので、MZ干渉計内で光子の光路が記録される可能性は全くない。したがって、光子の状態はビームスプリッタBS1からビームスプリッタBS2までの間変化しない。


《BS1〜BS2》
|左光路>+|右光路>の確率 = 50%
|左光路>の確率 = 25%
|右光路>の確率 = 25%


そこで、


《BS2〜D1, D2》
|D1ポート>の確率 = 25%
|D2ポート>の確率 = 75%


ゆえに、図14の場合、
検出器D1における光子検出確率は25%になる。
よって、「ビームスプリッタB1,B2間の光路差をゼロに設定したMZ干渉計では、検出器D1における光子検出確率は必ずゼロなる」という常識は間違いである。

fig15

一方、図15では、光子はスピンダウンの記録事象R_upを頂点とする記録光円錐に進入する。この場合、光子は記録光円錐内に進入した時点で検出器D1, D2どちらかで検出されることが確定するので、光子の状態は左光路状態と右光路状態の確率的混合としての記録基底混合状態へと様相遷移する。


《RLC surface〜D1, D2》
|左光路>の確率 = 50%
|右光路>の確率 = 50%


ホイーラーは、天文学的スケールの遅延選択実験を構想した。従来解釈によれば、ビームスプリッタBS1, BS2間の光路長がたとえ50億光年あったとしても、ビームスプリッタBS2を光路に挿入すれば、検出器D1での光子検出確率はゼロになり、ビームスプリッタBS2を光路から外せば、検出器D1での光子検出確率は50%になる。だが、50億年前の光子の状態がビームスプリッタBS2の抜き差しによって決まるという事態は因果律に反する。そこで、ホイーラーは、「過去は、現在の記録上に存在しない限り意味も存在もない。」と主張し、記録から再記録までの間の量子状態の時空的記述をGreat Smoky Dragonにたとえて放棄した。しかし、実存主義的様相解釈は、Dragonを覆った霧を吹き払った。実存主義的様相解釈によれば、ビームスプリッタBS2を光路に挿入した場合でも検出器D1での光子検出確率は必ずしもゼロにならない。検出器D1における光子検出確率は、ビームスプリッタBS2の抜き差しを決定する究極的な原因事象Rの時空上の位置に依存するのである。

(つづく)


お願い

以上の記事は、哲学系掲示板「論客コミュニティー」に投稿したものです。投稿先への礼儀と応答の重複を避ける観点から、この記事へのコメントは、「論客コミュニティー/哲学/「私」と「他者」と「物理世界」」の方にお寄せ願います。


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