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Spooky Action at a Distance (2)

アメリカの有名な物理学者ジョン・ホイーラー (1911 - 2008) は、現在の選択者が過去の光子の状態を選択できるように見える実験、いわゆる遅延選択実験を提案しました。前回の実験系を用いて、ホイーラーのアイデアを説明しましょう。下図のように、前回の実験系において日本海の海上のハーフミラーを光路から外した状況について考えてみます。この状況で、光子がロシア側で検出されれば、光子は福岡経由の光路を通ってきたと考えられます。逆に、光子がコリア側で検出されれば、光子は札幌経由の光路を通ってきたと考えられます。ですから、日本海の海上のハーフミラーを光路から外した状況では、光子は福岡経由の光路か札幌経由の光路かのいずれか一方の光路を通ってきたと考えられます。


japan_map_3

一方、日本海の海上のハーブミラーが光路に挿入されている場合は、ロシア側だけで光子が観察されることから、東京のハーフミラーと日本海の海上のハーフミラーとの間に存在した光子は、福岡経由の光路を通る状態と札幌経由の光路を通る状態との重ね合わせの状態であったと考えられます。そこで、日本海の海上のハーフミラーを、光子がそこに到達する直前に光路から外したとしましょう。すると、そのハーフミラーを外す直前までは、光子は福岡経由の光路を通る状態と札幌経由の光路を通る状態との重ね合わせの状態であったといえるのに、そのハーフミラーを外して光子を測定した途端、光子は福岡経由の光路か札幌経由の光路かのいずれか一方の光路を通ってきたことになってしまいます。このように、この実験は、日本海の海上のハーフミラーを光路に挿入するか光路から外すかを選択し実行することによって、その選択者が過去の光子の状態も選択できるように見えるので、遅延選択実験と呼ばれています。


遅延選択は、現在から過去へに向かう Spooky Action at a Distance(遠隔怪作用)だということができます。とはいっても、このような遅延選択を用いて過去へ信号を送ることはできないので、ここでも、相対論的因果律と量子力学の正面衝突はあやういところで避けられています。ホイーラーは、P. C. W. デイヴィスの質問に答えてこういっています。「第1のハーフミラーから検出器にいたるまで、光子が何をしていたかについては、我々には語る資格がありません。結局、それが記録されるまでは、基本的量子現象は現象ではないのです。」

たしかに、光子が福岡経由と札幌経由との重ね合わせの状態から福岡経由か札幌経由かのどちらか一方の状態へと遷移する過程を量子力学によって記述することはできません。とはいえ、「量子力学によって記述できないのだから、我々にはその遷移について語る資格がない」として沈黙するのは、教条主義的な態度のような気もします。しかしむしろ、力学(: 対象の状態変化を相互作用に基づいて記述しようとする試み)の限界をわかりやすく示してくれたという意味で、我々はホイーラーの言説を肯定的に捉えるべきでしょう。

(つづく)



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