calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

categories

blog ranking

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村 科学ブログ 物理学へ
にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ

archives

Spooky Action at a Distance

相対論の喉には棘が刺さっています。その棘とは、アインシュタインが Spooky Action at a Distance(遠隔怪作用)と呼んだ非局所的な量子相関です。


アインシュタインは、因果律を厳密化しました。彼は、「原因に対応する結果は、その原因が起こった時空点から光の速度以下で到達できる範囲内の時空上に位置しなければならない」という法則、いわゆる相対論的因果律を発見しました。ところが、量子力学から導かれる非局所的な量子相関は、超光速の相関なので、相対論的因果律と矛盾するようにみえます。そこで、アインシュタインは、そのような spooky Action at a Distance を導き出してしまうような量子力学は、不完全な理論だと主張しました。しかし、彼の死後に行われた実験で、非局所的な量子相関は確かに超光速の相関であることが実証されました。そのため、今なお相対論の喉にはその棘が刺さったままになっているというわけです。


非局所的な量子相関の最も単純な例をみてみましょう。1個の光子をハーフミラーに入射させます。すると、その光子が反射側で観測されるか、それとも、透過側で観測されるかは、半々の確率で全くランダムに決まります。そこで、下図のように光子を入射させるハーフミラーを東京に置き、そのハーフミラーの反射側の検出器を福岡に置き、そのハーフミラーの透過側の検出器を札幌に置いたとしましょう。もし、福岡で光子が検出されれば、当然、札幌では光子が検出されません。逆に、福岡で光子が検出されなければ、当然、札幌では光子が検出されます。つぎに、札幌の検出器をはずして、光子が札幌を通過するようにしたとします。その場合、福岡で光子が検出されれば、その時、札幌を通る光路には光子は存在しないはずです。また、福岡で到達予定時刻に光子が検出されなければ、その時、札幌を通る光路には光子が存在するはずです。一見あたりまえの推測に思えますが、実は、この推測は重大な問題を孕んでいます。


japan_map

もし、ハーフミラーを出た光子の状態が反射した状態か透過した状態かのいずれか1つの状態だとすれば、札幌での光子の有無は、福岡での測定の前から確定していたといえます。ところが、下図のような実験によって、ハーフミラーを出た光子の状態は、「福岡側の光子と札幌側の光子との重ね合わせの状態」であることが示されます。下図は、福岡と札幌それぞれに置いたミラーと日本海の海上に置いたハーフミラーとによって、福岡経由の光路と札幌経由の光路とを日本海の海上で合成した様子を表しています。ここで、東京のハーフミラーから福岡経由で日本海の海上のハーフミラーにいたる光路の長さと、東京のハーフミラーから札幌経由で日本海の海上のハーフミラーにいたる光路の長さとを厳密に等しく設定したとします。すると、大変面白いことに、光子はロシア側でのみ検出され、コリア側で検出されることはありません。これは、福岡経由の光子の状態と札幌経由の光子の状態が、ロシア側の出口では足し合わされ、コリア側の出口では相殺されるからです。したがって、福岡側だけに検出器を置いた場合、福岡での光子到達予定時刻より前の光子の状態は、「福岡側の光子と札幌側の光子との重ね合わせの状態」だと考えられます。そうすると、福岡で光子を測定することによって、札幌における光子の状態は、「福岡側の光子と札幌側の光子との重ね合わせの状態」から「札幌側の光子が有るか無いかのいずれかの状態」に瞬時に変わると解釈できます。この例のように、非局所的な量子相関を「因果的な作用」として捉えると、それは超光速で伝わる Spooky Action at a Distance だということになります。とはいっても、このような非局所的な量子相関を用いて超光速で信号を送ることはできないので、相対論的因果律と量子力学の正面衝突はあやういところで避けられています。

(つづく)


japan_map_2



コメント
コメント、遅くなってすみません。
アインシュタインにとっては、「棘」だったでしょうが、
>ハーフミラーを出た光子の状態が反射した状態か透過した状態かのいずれか1つの状態だとすれば、札幌での光子の有無は、福岡での測定の前から確定していた

わけじゃないので、棘とは思えません。
というのは、観測していない状態は、
「全ての状態の和」つまり「確定していない」
からです。
この場合「全ての状態の和」ということは、
「福岡へ行った」+「札幌へ行った」
です。
この状態が観測することにより、瞬時に、どちらかに「収縮」することは、確かに不思議と言うのは、同感です。
しかし、観測する地点と確認している地点を混同してはいけません。
観測する地点は、一点、つまり局所です。
ロシアも韓国も、ただそれを確認しているだけです。
確認しただけのことを因果関係があるように思うから変に感じるのでは、ないでしょうか?
  • kafuka
  • 2011/09/03 1:43 PM
kafukaさん、お忙しいところお越しいただきありがとうございます。

さて、ホイーラーの遅延選択実験における問題の本質は、実験系内における測定対象の状態変化が力学的に、すなわち相互作用によって、記述できないという点にあります。このような単純な系では、量子デコヒーレンスといった言い訳は成り立ちません。相互作用によって問題が解決されないからこそ、私はそれより深いレベルの法則である因果律に訴えたのです。そして、その結果観測事実と矛盾がなく、また検証可能な遷移法則が導かれました。kafukaさんが私の遷移法則を否定されるのなら、その物理学的な根拠をお示しください。
複数の状態の和が観測によって1つになる「過程を記述する物理的な法則」はない と思っています。
(デコヒーレンス理論も過程を記述するわけではありません)
法則があるならパラメータがあってそれで記述できるはずです。
少なくとも、局所実在論の法則とすれば、
そのようなパラメータの存在は、ベルの定理が破れるという事実から否定されます。
(札幌での光子の有無は、福岡での測定の前から確定していたという論理は、局所か非局所かはおいて「実在論」です)
非局所実在論での法則があるとすると、
光円錐を超える物理的作用を仮定することになり、
これは、TimeCommさんの理論ではないでしょう。
量子論(これは局所非実在論の範囲)のことをちょっと書くと、
この記事にある光円錐の外どうしの観測点(状態が1つの固有状態に定まった点)
と確認点間には、因果関係はなく、相関関係はある とします。
重要なのは、観測点と確認点の関係が固定ではない ということです。
これは、別の慣性系をうまくとると、
その慣性系から見ると観測点と確認点の関係が逆転する(しないといけない)ということです。
つまり、観測点(状態が1つの固有状態に定まった点)の物理法則による作用で、確認点の状態が定まる
とすると、「その作用は、どっちからどっちに伝わったんだ?」ということになり、矛盾です。
したがって、量子論が正しいなら、
「そんな物理法則による作用」はない
ことになります。
で、光円錐面で「状態が1つの固有状態に確定する」ということについての検討は、のちほど、、、
  • kafuka
  • 2011/09/03 6:42 PM
>光円錐面で「状態が1つの固有状態に確定する」

ちょっとまってください。私はそんなことは言っていませんよ。光円錐面で量子的な純粋状態から古典的な混合状態に遷移するといっています。古典的混合状態はあくまで統計的な状態であって、1つの固有状態ではありません。可能世界論的にいえば、2つの可能世界の確率的混合ということです。
誤解のないようにお願いします。
失礼。言葉が足りませんでした。
光円錐面で「純粋状態アンサンブルが、1つ1つの固有状態からなるアンサンブルに確定する」です。
僕は、「1つ1つの固有状態からなるアンサンブル」を混合状態と理解しています。
純粋状態は、固有状態の和であり、それが収縮すると、
その中の、ある1つの固有状態になるからです。

それから、僕のブログの方にも、ちょっと書きました。
  • kafuka
  • 2011/09/03 10:46 PM
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック