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時間逆行通信の検証実験/11.かぶせデコ箱の製作-1

fugaku11

葛飾北斎 富嶽三十六景/礫川雪ノ旦


【Now*Here記号】

私の一生の短い期間が、その前と後との永遠のなかに<一日で過ぎて行く客の思い出>のように吞み込まれ、私の占めているところばかりか、私の見るかぎりのところでも小さなこの空間が‥‥私の知らない無限に広い空間のなかに沈められているのを考えめぐらすと、私があそこでなくてここにいることに恐れと驚きとを感じる。なぜなら、あそこでなくてここ、あの時でなくて現在の時に、なぜいなくてはならないのかという理由は全くないからである。だれが私をこの点に置いたのだろう。だれの命令とだれの処置とによって、この所とこの時とが私にあてがわれたのだろう。

ブレーズ・パスカル『パンセ』第3章205(訳:前田陽一ほか)より


もちろんここでパスカルは、「神の命令と神の処置とによって、この所とこの時とが私にあてがわれた」ことを示唆しているのであるが、彼の意図はさて置き、この問題提起において彼は「私が観測できる時空とその周りに無限に広がっている時空とは物理的本質において何ら変わらない」と仮定している。つまり、彼は物理世界と「いまここという私の意識」とを碁盤と碁石とのように別物として扱っている。パスカルに限らずガリレオやデカルトやニュートンといった自然哲学者が抱いた「物理世界は客観的に実在する」という信念は、ニュートン力学の大成功により疑うことが許されない科学のドグマになった。


「物理世界は客観的に実在する」という信念は、時計仕掛けのように決定論的に発展する特殊な物理系を記述する上では問題を起こさない。しかし、原理的に不確定な事象を伴って非決定論的に発展する一般の物理系を記述する場合、主観を排除して記述することは原理的に不可能である。たとえば、量子コイントス事象を含む物理系を時空図中に厳密に表現するためには、図7の(a)や(b)や(c)のように、いまここが(いまここの私が)その量子コイントスとどのような関係にあるのかを明示しなければならない。


verify7

図7 物理世界の非客観性


図7(a)は、観測者のいまここ(Now*Here記号)が量子コイントスを頂点とする未来光円錐の外側にある状況を表している。この状況では、量子コイントスの結果が表か裏かは原理的に不確定である。一方、図7(b)は観測者のいまここ(Now*Here記号)が量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側にあり、かつ、量子コイントスの結果が表であった状況を表している。他方、図7(c)は観測者のいまここ(Now*Here記号)が量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側にあり、かつ、量子コイントスの結果が裏であった状況を表している。見ての通り、(a), (b), (c)はそれぞれ全く異なる物理的状況を表している。このように、非決定論的な現実の物理的系の記述においては、観測者のいまここ(Now*Here記号)を明示しない限り、つまり、主観的要素を取り入れない限り、ごく単純な系すら十全に記述することはできない。


「物理世界は客観的に実在する」という信念は近代科学思想の中心にあった。しかし、図7により端的に示したように、その信念は誤りである。正解は、「物理世界は相互主観的(間主観的)に実在する」である。そうだとすれば、物理世界と「いまここという私の意識」とを互いに独立した実体として捉える実体二元論や「いまここという私の意識」を物理法則から演繹できる現象として捉える唯物論は誤りである。そこで、私は科学の場において中立一元論を支持する。


【かぶせデコ箱の材料】

かぶせデコ箱(下側ベース部分を除く)の材料(一部未着)について、写真と価格表を以下に示す。


かぶせデコ箱材料

写真6



表3

表3



時間逆行通信の検証実験/10.スケジュール

fugaku10

葛飾北斎 富嶽三十六景/下目黒


【来世か超現世か】

死ほど恐ろしいものはない。人々は、その恐怖を緩和するために死後の世界すなわち来世があることを信じてきた。ところが、最近になって、その来世に勝るとも劣らず死の恐怖を緩和できる新たなビジョンが現れた。シンギュラリティ(技術的特異点)がSFから現実へとなりはじめたいま、少なくない人々が、現生から超現世へ(線分的人生から半直線的人生へ)と飛躍することを願いはじめたのだ。


来世があったとしても、そこが地獄なら無い方がましだ。来世に対する超現世の優越性は、科学が不老不死と幸福(陶酔)とを同時に約束する点にある。人は機械とつながることと引き換えに半永久的に陶酔し続ける存在へと昇華する。現に地獄の苦しみを味わっている人々が、不確かな来世よりも科学が保障する超現世を熱望しても何ら不思議ではない。


しかし、半永久的に陶酔しつづけるものになるということは、人間をやめることにほかならない。人間は死という宿命をもつ儚い存在だからこそ愛おしく美しく自由なのだ。科学者が夢のような超現世を約束したとしても、表現者(芸術家)はいまを生きる儚い人間でありつづけるだろう。


われわれは、人類史上もっともエキサイティングな時代にいる。知性をもつがゆえに自らを万物の霊長とたたえてきた人間が、自らの創造物にその地位を譲ろうとしている。数学や物理学の未解決問題がAIによって次々と解き明かされ、生身の人間には「彼ら」の理論を完全に理解できない悲しい事態が訪れるのも時間の問題だろう。われわれの社会や価値観は大きく変貌しようとしている。それなのに、大半の人々は未だに旧弊な競争原理に囚われて汲々としている。


【スケジュール】

実験装置の製作と検証実験のスケジュールを下表に示す。


表2

表2 スケジュール



時間逆行通信の検証実験/9.予算

fugaku9

葛飾北斎 富嶽三十六景/穏田の水車


【予知型市場経済システム】

時間逆行通信にもとづく予知が実現すれば、現行の市場経済システムは破綻する。なぜなら、株・債権・為替・商品などの相場を他者に先駆けて予知できる投資家は、ブラックホールのように市場から資金を吸い上げられるからだ。このような抜け駆けを防止する対策としては、取引所などの中立的な機関が率先して相場変動の予知を行いその結果を公開することが考えられる。公開される予知結果にはそのアナウンス効果も織り込まれているので信頼性は高いが、量子力学的な不確定性のため予知が確率的になることは避けられない。いやむしろ、この原理的な不確定性こそが、投資の集中による市場の破たんを回避する安全弁の役割を果たす。投資家は、公開された予知結果に自らの投資回収期間と確率的リスクへの対応力とを当てはめて最大の利益が見込める対象に投資することになる。他者を出し抜くマネーゲームの醍醐味は激減するが、市場の崩壊は免れる。一方、時間逆行通信にもとづく予知が実現すれば、気象予知・資源探査・製品開発・生産・マーケティング・事業計画などの産業技術全般が飛躍的に進歩して究極的な産業革命が起こる。そして、時を置かず、われわれの文明はテクノロジカル・シンギュラリティへと到達するだろう。


【実験装置予算】

実験装置に関する予算を下表に示す。


表1

表1 実験装置予算



時間逆行通信の検証実験/8.データロガー

fugaku8

葛飾北斎 富嶽三十六景/青山円座松


【可能性の収縮】

第1のH偏光板を透過した単一光子の偏光状態を、第2の偏光板により測定する場合について考える。ただし、量子コイントスによる選択にもとづいて第2の偏光板ではV偏光板+光子検出器によるHV測定かD偏光板+光子検出器によるDX測定かのどちらかが行われるものとし、なおかつ、その量子コイントスを頂点とする未来光円錐面は第1偏光板,第2偏光板間の光路と交わるものとする。図5は、量子コイントスによりHV測定を選択された場合を示し、図6は量子コイントスによりDX測定が選択された場合を示している。


verify5-6

第1のH偏光板から量子コイントスを頂点とする未来光円錐面までの光子の状態は、図5と図6で何ら変わらない。従来解釈によればその状態はH偏光状態(純粋状態)だとされる。しかし、様相的状態を現実の物理状態であるとする解釈(実存主義的様相解釈)によれば、単一光子の偏光状態はH:50%,V:0%,D:25%,X:25%の様相的なHVDX混合状態である。なぜなら、量子コイントスによりHV測定が選択される可能性とDX測定が選択される可能性とはそれぞれ50%であり、さらに、それぞれの偏光状態に関する可能性は一般化されたボルンの規則により案分されるからである。図5では、HV測定を選択する量子コイントスを頂点とする未来光円錐面を遷移面として様相遷移が起こり、単一光子の偏光状態に関する可能性は下記のとおり収縮する。


(H:50%,V:0%,D:25%,X:25%)→(H:75%,V:25%)


つまり、図5の状況では、第1のH偏光板を透過した単一光子が第2のV偏光板を透過して検出される可能性は25%となり、「クロスニコル配置した一対の偏光板は光を遮断する」という光学の常識が破られる。

一方、図6では、DX測定を選択する量子コイントスを頂点とする未来光円錐面を境界として、単一光子の偏光状態に関する可能性は下記のとおり収縮する。


(H:50%,V:0%,D:25%,X:25%)→(D:50%,X:50%)


以上のように、様相遷移や可能性の収縮といった概念を導入することにより、測定前の量子的粒子の状態の変化を因果的かつローレンツ不変な形で記述できる。


非因果的な摩訶不思議な作用によって「波束が収縮する」のではない。

因果律に則った様相遷移によって「可能性が収縮する」のである。


【データーロガー】(Pico Technology製 DrDAQ 写真5参照)

DrDAQは、科学教材などに使われている簡易なデーターロガーである。その仕様(下記)から、フォトディテクタPDA100Aに適合すると判断した。


・帯域幅: 100kHz

・解像度: 8 bits

・入力タイプ: BNCコネクタ

・入力範囲: ±1.25V、±2.5V、±5V、±10V


データロガー

写真5 データロガーDrDAQ



時間逆行通信の検証実験/7.暗箱

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葛飾北斎 富嶽三十六景/五百らかん寺さゞゐどう


【パンドラの箱に残されたもの】

もし、あなたが予知能力を手にしたら、それを何に使うだろう?

為替や株で大儲けする? 災害を予知して多くの人命を救う? 自らの運命を予知する?


予知能力を手にするということは、いつでも最善の選択すなわち神託(オラクル)を手に入れられるようになるということだ。そうだとすれば、それを手にした者の言動はその神託に左右されるようになってしまうだろう。まるで、占い師にマインドコントロールされた人の言動のように‥‥果たして彼は幸せだろうか? いや、そもそも彼は自由な人間だといえるだろうか?


ギリシア神話では、予知能力は忌まわしい能力として描かれている。有名なパンドラの神話の結末の描写には、「パンドラの箱に希望が残った」というよく知られたバージョンのほかに「パンドラの箱から予知能力という最悪の災いが飛び出すことだけは辛うじて免れた」というバージョンもある。われわれ人間は予知能力を持っていないからこそ前途に希望を抱いて生きていけるのであり、予知能力を持った者は自らの悲惨な前途(老病死や裏切りや諍いや挫折)を目の当たりにして生き地獄を味わうことになる‥‥ということか。また、カッサンドラ―の神話ではアポローンから予知能力を授かった凶事の予言者カッサンドラーの悲惨な生涯が描かれている。そのことから、イタリア語では「カッサンドラー」は「不吉、破局」を表す言葉として使われているという。


いずれ、われわれは時間逆行通信技術に基づく予知能力を手にするだろう。そのとき、「カッサンドラー!」と叫ぶことになるのかどうかは、予知能力を持たない今のわれわれには知る由もない。


【暗箱の概念設計】

・光学ベース上での作業性を確保するため、かぶせデコ箱方式を採用し、作業中はデコ箱を外せるようにする。

・デコ箱の外面はアルミ箔でおおい、内面は光吸収シートでおおうことにより、外光を遮断し箱内の迷光を吸収する。

・黒ゴムシートを敷いたベースアルミ板とデコ箱との接続部をスプリングクランプ18個で圧着して外光を遮断する。

・ベースアルミ板に穴をあけて配線を引き込み、黒色接着剤で穴を完全に塞ぐ。

・センサーやサーボモータなどの増設に備えて予備の配線を最初から引き込んでおく。



verify4


図4 暗箱の概念図


1:かぶせデコ箱,2:ベースアルミ板,3:スプリングクランプ 



時間逆行通信の検証実験/6.受信部

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葛飾北斎 富嶽三十六景/深川万年橋下


【光子の運命】

独房(孤立系)に収監されているムルソーを死刑に処すか無罪放免とするかの評決が量子コイントスによって決められる場合、ムルソーの運命はその量子コイントスを頂点とする未来光円錐面において死刑または釈放に確定する。死刑に処せられる運命にあるムルソーと釈放される運命にあるムルソーとは様相的にかけ離れた状態にあるにもかかわらず、ムルソーが力学的に孤立しているという理由から、従来の物理学はそれらを同じ物理状態にあるものとして扱ってきた。実際、ムルソーのような巨視的な系の状態の変化はよい近似で決定論的に記述できるため、様相的状態を無視してもかまわない。しかし、光子のような量子的粒子の状態の変化は非決定論的に記述されるため、様相的状態を無視できない。


第1のH偏光板(偏光軸:0°)と第2のD偏光板(偏光軸:+45 °)とを光路上に直列配置し、第1のH偏光板を透過した1個の光子の偏光状態を第2のD偏光板で測定する状況について考える。量子力学のコペンハーゲン解釈では、第1のH偏光板を透過した直後の光子の状態はH偏光状態だとされる(射影仮説)。また、波束の収縮時点を観測者の確認時点に置く解釈でも、光子が第一のH偏光板に到達する予定時刻にそこで吸収されないことを観測者が確認したとすれば、光子がH偏光板を透過したことは確実であり、透過直後の光子の状態はH偏光状態だとされる。さらに、多世界解釈でも、光子が第1のH偏光板を透過した世界では、透過直後の光子の状態はH偏光状態だとされる。そして、第2のD偏光板の測定値はボルンの規則にしたがって半々の確率でD(+45 °)かX(-45 °)かのどちらかになるとされる。しかし、これは可笑しい。なぜなら、第2のD偏光板はH偏光状態にある1個の光子をD(+45 °)かX(-45 °)かのどちらかの偏光状態に確率的に変換する量子電磁力学的メカニズムではないからである。


第2のD偏光板がH偏光状態にある1個の光子をD(+45 °)かX(-45 °)かのどちらかの偏光状態に確率的に変換する量子電磁力学的メカニズムではないないとすれば、第2のD偏光板に入射する直前の光子の状態はDX混合状態(±45°混合状態)だと考えざるをえない。では、光子はいつどのようにしてDX混合状態になったのだろうか。ムルソーが死刑になるか、それとも、釈放されるかの運命が評決の量子コイントスで決まるように、光子がDX測定されるかされないかの運命は、DX偏光測定基底の設定原因となる量子力学的確率事象によって決まる。光子が第1のH偏光板を透過する前から第2のD偏光板が光路に設置されているとすれば、第1のH偏光板を透過した直後における光子の運命は、DX測定によりDかXかのどちらかとして測定されることが確定している。そこで、光子の様相的な状態(運命)がまさしく現実の物理状態であるとすれば、第1のH偏光板を透過した直後から第2のD偏光板に入る直前までの光子の状態は様相的なDX混合状態だと推定できる。


非決定論的に発展する現実の物理世界を記述する上で不可欠な確率や運命や可能性や必然性といった様相概念は、いまここの私(実存、観測者)を基準とする相互主観的(間主観的)な概念である。常識として受け入れられてきた「物理系は客観的に記述できる」という信念は、決定論的な数式によって十全に記述できる特殊な物理系において通用するにすぎない。現実の物理世界が非決定論的に発展しているにもかかわらず、科学の場において「主観を排除した客観的記述」を強要する者の態度は教条主義的だといわざるをえない。


【偏光板と回転マウント】(THORLABS製、写真4参照)

・Φ12.7mm 保護ウインド付きフィルム型偏光子

・Φ12.7mm 光学素子用回転マウント


【フォトディテクタ】(THORLABS製PDA100A、写真4参照)

・波長範囲: 320 - 1100 nm

・帯域幅: DC - 2.4 MHz

・利得: 1.51 kV/A - 4.75 MV/A (Hi-Z Load)

・利得: 0.75 kVA - 2.38 MV/A (50 Ω Load)

・NEP (noise equivalent power: 雑音等価電力): 0.973 - 27 pW/Hz1/2

・アクティブエリア: 100 mm2(10 mm x 10 mm)



フォトディテクタ

写真4 フォトディテクタと回転マウント



時間逆行通信の検証実験/5.送信部

fugaku5

葛飾北斎 富嶽三十六景/本所立川


【送信者の自由意志】

長らく人々を悩ませてきた自由意志と決定論の問題は、下記のような誤った認識から生じた疑似問題にすぎない。


(誤り)自由意志は、決定論的に培われたユニークな選択機能によって非決定論的に生成される


時間逆行通信と送信者の自由意志とが相互排除的な関係にあるように感じられるのは、上記のような誤った認識から生じた錯覚である。量子現象の非決定性を考慮すれば、自由意志はつぎのように再定義できる。


(正解)自由意志は、非決定論的に培われたユニークな選択機能によって決定論的に生成される


つまり、自由意志を生成する選択機能は主体内外の環境の非決定論的な時間発展に伴って非決定論的にかつユニークに形成されるが、自由意志の発意は特定の発展段階ある選択機能により決定論的に生成される。


【偏光分離吸収板】(THORLABS製偏光板を加工、図3参照)

偏光板の裏面を黒色に塗装(黒色接着剤を塗布)した偏光分離吸収板は、入射光子を偏光フィルム部か裏面塗装部かのどちらかで吸収する。つまり、入射光子の偏光状態は偏光フィルム部において収縮する。測定過程における光子の偏光状態の遷移は因果的に記述できるという立場に立てば、偏光フィルム部に到達する直前の光子の状態は、この偏光分離吸収板の偏光測定基底に関する様相的な偏光混合状態でなければならない。


【低速モーター】(TOKYO MICRO製、図3参照)

1v-5v 3rpm-15rpm 直流マイクロギヤモーター

低速モーター採用の理由は以下のとおり。

送信部/偏光板の回転角の変化と受信部/フォトディテクタの検出値の変化との相関をデータロガーを使ってリアルタイムで確認するため。

受信部/フォトディテクタのNEP (noise equivalent power: 雑音等価電力)における雑音量が、周波数帯域幅の平方根に比例するため。



verify3


時間逆行通信の検証実験/4.ビームスプリッタ

fugaku4

葛飾北斎 富嶽三十六景/東都浅草本願寺


【力学的因果系列と様相的因果系列】

古典力学的世界観などの決定論的世界観における本源的な原因事象は、宇宙を創生した神の一撃である。そこでは、因果系列がドミノ倒しのような近接作用の連鎖によって決定論的に展開する。そのことから、決定論を信奉する唯物論者や物心二元論者は、因果律と決定論とを混同して扱ってきた。しかし、量子力学ではそのような混同は許されない。たとえば、爆弾検査問題と呼ばれる量子力学的な思考実験(実証済み)では、正常爆弾か不良爆弾かを選り分ける検査が相互作用を介さずに行われる。すなわち、正常爆弾→光子非検出と不良爆弾→光子検出という非力学的な因果系列が存在する。このような非古典的な因果系列は、量子的粒子の状態に関する可能性の収縮にもとづいているので、様相的因果系列と呼ぶのが適当である。ここで重要なのことは、この可能性の収縮をもたらす本源的原因事象が、量子コイントスのような非決定論的な量子力学的確率事象だということである。つまり、われわれの物理世界には、決定論的な力学的因果系列と非決定論的な様相的因果系列という二種類の因果系列が存在する


【ビームスプリッタの利用】

単一光子の光路をビームスプリッタで分岐して、反射側に送信部を設置し、透過側に受信部を設置することにより、送信事象を力学的因果系列に配置し、受信事象を様相的因果系列に配置することができる。本実験では、送信部/偏光板を回転させることにより、それと遠隔配置した受信部/フォトディテクタにおける検出値が正弦的に変化することを確認する。このとき、ビームスプリッタから送信部/偏光板までの光路長をビームスプリッタから受信部/偏光板までの光路長より長くとっておけば、受信部/偏光板に入射する光子の様相的な偏光混合状態を送信事象(送信部/偏光板の角度設定)により遅延選択した形になり時間逆行通信が成立する。ただし、この遅延選択は見かけ上の効果にすぎない。なせなら、光源部/偏光板を透過し、かつ、送信の原因事象を頂点とする未来光円錐の内側にある光子の偏光状態は、すでにその時点で送信事象に対応した混合状態へと様相遷移しているからである。



BS1

写真3 プリズムホルダーとビームスプリッタ(シグマ光機製)



時間逆行通信の検証実験/3.光源部

fugaku3

葛飾北斎 富嶽三十六景/東都駿台


【準単一光子光源】

時間逆行通信に利用する遅延選択効果は、単一光子系において顕著に現れる。たとえば、H偏光板を透過した1個の光子がD偏光板によって+45°偏光状態(透過)か−45°偏光状態(吸収)のどちらかの状態として測定される場合、D偏光板による測定の本源的な原因事象(量子力学的確率事象)を頂点とする未来光円錐の内側では、H偏光板を透過した光子の運命は+45°偏光状態か−45°偏光状態かのどちらかの状態として測定される運命に確定している。したがって、その未来光円錐の内側、かつ、H偏光板を透過した後の光子の偏光状態は、D偏光板によって測定される直前までの間、±45°の様相的な混合状態である。しかし、H偏光板を同時に多数個の光子が透過する場合は、D偏光板による透過と吸収とが同時に起こるペア事象が一定の確率で生起するので、その分、H偏光板を透過した各光子の運命は+45°偏光状態か−45°偏光状態かのどちらかの状態として測定される運命だとはいえなくなり、遅延選択が無効になる。そのため、多光子系を時間逆行通信に利用することは非現実的である。とはいえ、純粋な単一光子源は入手困難である。そこで、本実験では準単一光子源として微弱なレーザー光源を採用する。


【発光デバイス】

・レーザダイオードモジュール 670nm 3mW CW (シグマ光機製、写真1参照)


レーザーモジュール

写真1 レーザーモジュール


【NDフィルター】

・透過率10-3, 10-4のARコート付きΦ12.7mmNDフィルタ2個をレンズチューブに格納。(THORLABS製、図2参照)

・レンズチューブはレーザー本体に接着。



verify2


・準単一光子源の保証

1Wの光ビーム1m当たりに含まれる光子の数NWは、

NW = λ/(hc2)

したがって、1nWに減光した波長670nmのレーザービーム10cm当たりに含まれる光子の平均個数は、

{λ/(hc2)}×10-9×10-1

= [6.7×10-7/{6.626 ×10-34×(2.998×108)2}]×10-10

≒ 1

よって、写真1のレーザーモジュールを発した光を図2のNDフィルタシステムにより0.3nWまで減光し、かつ、そのコヒーレンス長が10cm未満だと想定すれば、コヒーレンス長内の光子数は平均1個未満になるので準単一光子光源が実現できる。


【偏光板】

・可変目盛り付きホルダに格納。(シグマ光機製、写真2参照)


偏光板1

写真2 可変目盛り付きホルダ



時間逆行通信の検証実験/2.概念設計

fugaku2

葛飾北斎 富嶽三十六景/江都駿河町三井見世略図


Aliceによる行為の事象列とBobによる観測の事象列とが一定の相関関係にある場合、Aliceの行為を送信事象としBobの観測を受信事象とする通信が成立していると判断できる。送信事象と受信事象とが近接作用によって結ばれた従来の通信では、Aliceの行為とBobの観測とが直接的な因果関係にあるので、AliceからBobへの時間逆行通信は不可能である。しかし、Aliceの行為とBobの観測とが共通の原因から発していて、かつ、Aliceの行為とBobの観測とが直接的な因果関係にない場合は、AliceからBobへの時間逆行通信が因果律に反するとはいえない。ここで留意しなければならないことは、Aliceの自由意志が彼女の行為(送信)の原因とはいえないという事実である。たとえば、地震の通報の原因は地震の原因そのものであり、通報者の自由意志ではない。通報者が地震を通報するのは、地震が発生する前に「地震が発生したら通報する」という意志を固めていたからである。仮に、通報者が量子サイコロを振って(あるいは量子力学的な不確定性にもとづく気分の揺らぎによって)通報するか通報しないかを決めることになっているとしても、通報の量子力学的な不確定性に対応して地震の予知も確率的になるというだけの話である。


時間逆行通信を利用した地震の予知を例にとってさらに説明をすすめる。地震が発生する前の時間逆行通信装置と地震の原因事象とは力学的に分離されている(近接作用によって結ばれていない)。コヒーレンス長当たりの平均光子密度が1未満の光子ビームを時間逆行通信媒体とし、送信を様相的偏光混合状態の遅延選択により行い、受信を偏光状態の観測により行う時間逆行通信に関する事象生起の順序は以下のとおりである。


1.地震の本源的な原因事象(量子力学的確率事象)の生起

2.地震の本源的な原因事象を頂点とする未来光円錐面における光子の様相的偏光混合状態の遷移

3.Bobが光子の偏光状態を観測することによる通報の受信

4.地震の発生

5.Aliceが光子の偏光測定基底を通報モードに設定することによる通報の送信


 ここで、(1.→2.→3.)と(1.→4.→5.)とは異なる因果系列なので3.の受信と5.の送信との間に直接的な因果関係はない。また、2.に示した光子の様相的偏光混合状態の遷移は、新しい量子力学の解釈(実存主義的様相解釈)が予想する未発見の現象であり、時間逆行通信のアイデアの核心である。(詳しくは前シリーズ記事『時間逆行通信の原理』を参照)


時間逆行通信を検証するための実験装置の概念図を以下に示す。


verify1

図1の光源部/偏光板と受信部/偏光板とは互いの偏光軸が直交関係になるように配置(クロスニコル配置)してあるものとする。従来の光学の常識では、理想的なクロスニコル配置の場合、受信部/フォトディテクタにおける光の検出はゼロになる。しかし、筆者が提案してる量子力学の新しい解釈によれば、受信部/フォトディテクタにおける光の検出がゼロになるのは、送信部/偏光板と光源部/偏光板の偏光軸の関係が平行またはクロスニコルになるときに限られる。特に、光源部を発する光ビームのコヒーレンス長当たりの平均光子密度が1未満であれば、送信部/偏光板の回転に同期して受信部/フォトディテクタにおける検出値が正弦的に変化する様子を明確に観測できると予想できる。ここで、送信部と受信部とは近接作用により結ばれていないので、受信事象と送信事象とは直接的な因果関係にない。また、図のようにビームスプリッタからのそれぞれの距離L1,L2L1>L2に設定すれば、送信部/偏光板の回転によって受信部/フォトディテクタにおける検出値の変化が( L1ーL2)/c 秒だけ遅延選択される形になるので、この実験装置は原理的な意味で時間逆行通信装置になっているといえる。ただし、今回の実験装置の仕様では遅延時間(信号の遡及時間)そのものは計測できないので、時間逆行通信の検証は間接的な検証に留まる。



時間逆行通信の検証実験/1.企画

fugaku1

葛飾北斎 富嶽三十六景/江戸日本橋


因果律に反しない時間逆行通信はありえる。なぜなら、送信の原因事象を頂点とする未来光円錐の内側に受信事象があれば、送信事象が受信事象より未来に位置しても因果律に反しないからである。たとえば、地震が起こった相対未来において送信した地震の通報を相対過去において受信して地震を予知する場合、地震の原因事象(送信の原因事象)を頂点とする未来光円錐の内側に受信事象があれば時間逆行通信を使った地震の予知は因果律に反しない。そして、量子測定の対象となる粒子の状態は、測定の原因事象(量子力学的確率事象)を頂点とする未来光円錐面で遷移するという量子力学の新しい解釈に立てば、通信媒体としての光子の状態が送信の原因事象を頂点とする未来光円錐面で遷移することを利用した時間逆行通信が可能だと推論できる。つまり、時間逆行通信の検証は、産業上の利用可能性もさることながら、量子力学の観測問題や量子力学と相対論との整合問題へのアプローチとして重要だと考えられる。そこで、下記のとおり時間逆行通信の検証実験を企画した。



【実験の目的】

時間逆行通信の間接的検証

ここで間接的検証とは、時間逆行通信の成否については送信事象と受信事象の非因果的な相関関係から立証できるが、信号遡行時間については短すぎて計測できないレベルの検証をいう。


【主な実験用デバイス】

・ 微弱偏光光源(レーザーダイオード+NDフィルタ+偏光板)

・ ビームスプリッタ

・ 送信部(低速ギヤードモーター+偏光板)

・ 受信部(偏光板+フォトディテクタ)

・ 光学ベース、ホルダー

・ 暗箱(ハウジング)

・ データロガー


【対照実験】

微弱偏光ビームの光子密度を(1光子/コヒーレンス長)レベルから(多光子/コヒーレンス長)レベルへと連続的に変化させてSN比の変化(悪化)を計測する。


【再現性】

デバイスの仕様や実験装置のレイアウトや製作・運用上の注意点を公開する。


【容易性】

パラメトリックダウンコンバータやフォトカウンタなどの高価なデバイスは使用しない。

以上



※ 口絵について

このブログでは、毎回、口絵として記事の内容に合った画像を掲げるよう努めています。しかし、今回の連載は回数が多くなりそうなので、記事ごとに異なる画像を探すことが困難です。そこで、葛飾北斎が60歳代(今の私と同年代)に発表した『富嶽三十六景』を発表順に掲げることにしました。彼が成し遂げたクリエイティビティと完成度の両立を私もこの実験において目指したいと思います。



時間逆行通信の原理/5.覚悟

hiroshima
HIROSHIMA (1945 AD)
 

習慣はわれわれの本性である。‥‥したがって、われわれの霊魂も、数、空間、運動を見ることに慣れたため、それを信じ、それだけしか信じないのであるということを、だれが疑うであろう。

パスカル『パンセ』前田陽一他訳より


ガリレオやデカルトやニュートンといった偉大な先人達が、決定論的かつ実在論的な世界観を物理学的世界観として採用したことで、主観を排除しかつ実存を無視することが科学的な態度であるかのような錯覚が一般に蔓延することになりました。アインシュタインまでが「『今』には何か本質的なものがあるが‥‥それは科学の領域の外部にある」といって、決定論的で実在論的な世界観を擁護しました。しかし、便法を真理へとすり替えたツケは、物理学の根本を揺るがす大問題、すなわち、量子力学の観測問題として回ってきました。


現実の物理世界は歴史世界です。その歴史世界の頂点にはいまここの私が存在します。また、歴史世界は私と他者との共通認識に基づいて語られる世界です。よって、本来物理学は相互主観的(間主観的)な視座に立つべき学問だといえます。


量子力学的な確率事象をミンコフスキー時空図を用いて表すためには、いまここの私の時空点(Now*Here記号)を明示しなければなりません。また、測定対象の状態に関する可能性の収縮がローレンツ不変であるためには、つまり、量子力学と相対論とを整合させるためには、その収縮が測定の原因事象(量子力学的確率事象)を頂点とする未来光円錐面で起こると考えなければなりません。そこで、物理学的世界観として承認されてきた決定論的で実在論的な世界観(唯物的世界観や二元論的世界観)を便法へと格下げして、非決定論的で相互主観的な世界観(中立一元論的世界観)に立った新しい物理学を構築しなければならない‥‥と私は考えています。


時間逆行通信の発明は、ドグマを粉砕して新しい物理学への突破口を開くのに十分な破壊力を持っています。とはいえ、素人の不遜でクレージーな提案を冷静に受け止めて協力してくれる専門家などいるわけがありません。ここに至り、私が進むべき道は自ら時間逆行通信装置を製作し検証する道以外にありませんでした。


時間逆行通信の原理(完)



時間逆行通信の原理/4.時間逆行通信装置

wells
Herbert George Wells (1866–1946)
 

時間逆行通信は、驚くほどシンプルな光学装置によって実現できます。図7のように、第1のH偏光板P1hを透過した1個の光子の光路を分岐比50:50のビームスプリッタBSにより分岐し、反射側光路の末端に送信者Aliceを配置し、透過側光路の末端に受信者Bobを配置します。Aliceは、間近の反射側光路に挿入した第2の偏光板P2をH偏光板P2hからD偏光板P2dに、あるいは、D偏光板P2dからH偏光板P2hに切り替えることによりバイナリー信号を送信します。Bobは、透過側の光路端に設置した第3のV偏光板P3vと光検出器PDを用いて光の非検出,検出を測定することによりバイナリー信号を受信します。図7に示したようにAlice側の光路長をBob側の光路長よりも長くとり、かつ、相対論的因果律に基づく事象配置条件を満たせばAliceからBobへの時間逆行通信が成立します。


概念図

図8は、図7の1光子系の時間発展を時空図を用いて示したものです。ただし、光子の世界線をx-ct平面上に図示するために、便宜上、光子がビームスプリッタBSへ入射する角度θを0°に設定しています。


図8_1_2

図8-(1)はAliceが第2の偏光板P2をH偏光板P2hに設定した状況を示しています。第1のH偏光板P1hを透過した直後の1個の光子は、第2のH偏光板P2hか第3のV偏光板P3vかのどちらかによって測定されることが確定しています。つまり、そのとき、光子はHV測定されることが確定してます。そこで、その様相的な偏光状態はH偏光状態である確率が100%でV偏光状態である確率が0%のHV混合状態、すなわち、H偏光状態です。よって、1個の光子はH偏光状態のままビームスプリッタBSを透過してBob側光路を進んで第3のV偏光板P3vで吸収(遮断)されるので、光検出器PDでの検出確率はゼロになります。

一方、図8-(2)はAliceが第2の偏光板P2をD偏光板P2dに設定した状況を示しています。その場合、第1のH偏光板P1hを透過した直後の1個の光子は第2のD偏光板P2dか第3のV偏光板P3vかのどちらかによって測定されることが確定しています。つまり、そのとき光子は偏光状態は以下の様相的混合状態になります。


D偏光状態である確率 ‥‥ 25%
X偏光状態である確率 ‥‥ 25%
H偏光状態である確率 ‥‥ 50%
V偏光状態である確率 ‥‥  0%


したがって、ビームスプリッタBSを通過(反射,透過)した直後の偏光状態は以下のような様相的混合状態になります。


Alice側光路にあってD偏光状態である確率 ‥‥ 25%
Alice側光路にあってX偏光状態である確率 ‥‥ 25%
Bob側光路にあってH偏光状態である確率  ‥‥37.5%
Bob側光路にあってV偏光状態である確率  ‥‥12.5%


よって、1個の光子がV偏光状態としてBob側光路を進んで第3のV偏光板P3vを透過し、光検出器PDで検出される確率は12.5%になります。つまり、図のように1個の光子が第1のH偏光板P1hを透過する時空点が、第2偏光板P2の切り替え(P2h ⇔ P2d)の原因事象を頂点とする未来光円錐の内側にあるという事象配置条件が満されていれば、Aliceによる第2偏光板P2の切り替え(P2h ⇔ P2d)に対応してBob側の光検出器PDの検出確率も変化(0% ⇔ 12.5%)するので、AliceからBobへの時間逆行通信が成立します。

なお、上記の時間逆行通信は、光子ビームのコヒーレンス長(可干渉長)内に存在する光子がたかだか1個であるような1光子系の場合に成立する効果です。コヒーレンス長内に多数の光子が存在するような通常の強度の光では、SN比が極端に悪くなり時間逆行通信効果の観測は困難になります。



時間逆行通信の原理/3.確率則

Blaise Pascal (1623 - 1662 )
Blaise Pascal (1623-1662 )
 

H偏光板を透過中の1個の光子の偏光状態はH偏光状態です。では、H偏光板を透過した直後の1個の光子の偏光状態はH偏光状態だと断言できるでしょうか。従来の物理学の答えはYesです。しかし、その答えは間違いです。なぜなら、図5のように1個の光子がH偏光板に入射する前にそのH偏光板によるHV測定に続いてD偏光板によるDX偏光測定が行われることが確定していたとすれば、1個の光子はH偏光板を透過した直後にDX混合状態へと様相遷移するからです。このDX混合状態は、D偏光状態,X偏光状態それぞれの確率が50%の様相的混合状態です。つまり、ボルンの規則は測定値に関する確率則から測定前の測定対象の様相的混合状態に関する確率則へと一般化されます。


確率則図5

次に、量子コイントスにより半々の確率で(V偏光板によるHV測定),(D偏光板によるDX測定)どちらかの履行を定める設定において、図6のように1個の光子がH偏光板を透過した後に(V偏光板によるHV測定)の履行を定める量子コイントスを頂点とする未来光円錐へ入る場合について考えてみます。


確率則図6

この場合、H偏光板を透過した直後における1個の光子の偏光状態は、つぎのような様相的混合状態になります。


H偏光状態である確率 ‥‥ 50%

V偏光状態である確率 ‥‥   0%

D偏光状態である確率 ‥‥ 25%

X偏光状態である確率 ‥‥ 25%


H偏光状態の確率が100%にならないわけは、H偏光板透過直後の段階ではまだDX測定が行われる可能性が50%あるからです。そして、その光子が(V偏光板によるHV測定)の履行を定める量子コイントスを頂点とする未来光円錐へ入った直後の偏光状態は、つぎのような様相的混合状態になります。


H偏光状態である確率 ‥‥ 75% (= 50% + 12.5%+ 12.5%)

V偏光状態である確率 ‥‥ 25% (= 12.5% + 12.5%)


したがって、H偏光板を透過した1個の光子は25%の確率でV偏光板を透過して検出されます。この推論は、クロスニコルに配置(偏光軸を互いに直交するように配置)した1対の偏光板は光を遮断するという光学の常識に反しています。しかし、従来の光学実験におけるクロスニコル配置では、1個の光子が第1の偏光板を透過するときにはすでに第2の偏光板をクロスニコルに配置することが確定しているといえるので、上記の推論が経験的事実に反しているわけではありません。



時間逆行通信の原理/2.様相遷移

Sir Francis Bacon (1561-1626)
Sir Francis Bacon (1561-1626)
 

ムルソーが処刑されるか釈放されるかの運命が評決(量子コイントス)によって定められるように、1個の光子の偏光状態が「HV偏光測定デバイス(水平偏光板や垂直偏光板など)」で測定されるか「DX偏光測定デバイス(+45°偏光板や-45°偏光板など)」で測定されるかの運命もまた量子コイントスによって定めることができます。その場合、1個の光子の偏光状態が図3のように「H(水平)またはV(垂直)」として測定されるか、あるいは、図4のように「D(+45°)またはX(-45°)」として測定されるかの可能性は、量子コイントスを頂点とする未来光円錐面で収縮します。


様相遷移

図3の場合、経験的につぎのことがいえます。

・1個の光子の偏光状態は、HV測定の履行を定めた量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側において、常に、H状態かV状態かのどちらかの状態として測定された。

この状況は、青色メガネをかけたら景色が青のモノトーンに変化して見えるといった状況とは本質的に異なります。なぜなら、青色メガネをかけて黒く見える物体が実は赤い物体だったということはありえますが、H偏光板(あるいはV偏光板)を使ってH状態として測定された1個の光子は、少なくとも、H偏光板を透過する時点(あるいはV偏光板で吸収される時点)では実際にH偏光状態だからです。また、HV測定に使うH偏光板やV偏光板は、1個のD偏光光子(あるいは1個のX偏光光子)をH偏光光子かV偏光光子かのどちらかに確率的に変換する量子力学的メカニズムではありません。そこで、帰納法を適用するとつぎのことがいえます。

・1個の光子の偏光状態は、HV測定の履行を定めた量子コイントスを頂点とする未来光円錐の内側において、H状態とV状態との混合状態(HV混合状態)である。

ただし、このHV混合状態はHV測定に一意的に対応した状態なので、測定に関して多意的な量子力学的な混合状態(密度行列により記述される混合状態)とは本質的に異なります。つまり、このHV混合状態は力学的混合状態ではなく様相的混合状態です。


1個の光子は、HV偏光測定の履行を定めた量子コイントスを頂点とする未来光円錐の外側においてどのような偏光状態であったとしても、その未来光円錐の内側ではHV混合状態になります。したがって、光子の様相的な状態はその未来光円錐面で遷移するといえます。私は、そのような状態の遷移を様相遷移と名付けました。様相遷移が未来光円錐面で起こるということは、その遷移が「観測者の運動の仕方に依存せず、あらゆる観測者にとっての一貫した記述が保証されている(ローレンツ不変である)」ということを意味します。そして、その事実は上記の観測理論の正当性を強く示唆しています。



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